筋肉痛がないと筋トレは失敗なのか|初心者が追い求めすぎると危ない理由

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トレーニング歴7年。ボディビル大会への出場経験あり。体育系の大学・大学院でトレーニングフォームを専門的に研究。減量・増量・ジム通いの失敗を一通り踏んだ実体験と専門知識から、初心者が迷いやすいポイントを率直に書いています。

筋トレを始めたばかりの人が、なぜか欲しがってしまうものがあります。

それが筋肉痛です。

翌日に胸が痛い。脚が痛い。腕が上がらない。

そうなると、なんとなく「昨日のトレーニングは効いたんだ」と安心します。

逆に、筋肉痛が来ないと不安になる人もいるでしょう。

「あれ?今日の筋トレ、意味なかったのか?」

「追い込みが足りなかったのか?」

「もっと種目を増やしたほうがいいのか?」

その気持ちはわかります。

ただ、ここで一つ覚えておいてください。

筋肉痛がないからといって、筋トレが失敗したわけではありません。

むしろ、筋肉痛を追い求めすぎるほうが初心者には危ないです。

今回は、筋肉痛の真実について迫っていきます。

筋肉痛は成長の合格通知ではない

まず、筋肉痛についてかなり多くの初心者が勘違いしています。

筋肉痛が来たら成功。

筋肉痛が来なかったら失敗。

こう考えたくなるのは自然です。

痛みはわかりやすいですからね。

重量が伸びたか。フォームが安定したか。対象の筋肉にちゃんと入ったか。こういうものは最初のうちは判断が難しい。

でも筋肉痛はわかりやすい。

痛い。階段がつらい。腕が上がらない。

だから「効いた証拠」として使いたくなる。

しかし、筋肉痛は筋肥大の必須条件ではありません。

筋肉痛は、慣れていない刺激が入ったとき、強い伸ばされ方をしたとき、いつもと違う動きをしたときなどに起きやすい反応です。

もちろん、筋肉痛が来ること自体が悪いわけではありません。

ただし、筋肉痛が来たから成長確定、筋肉痛が来ないから成長していない、という判断はかなり雑です。

筋肉痛はトレーニング結果の一部であって、成長の合格通知ではありません。

筋肉痛がなくても筋肉は成長する

では、筋肉痛がない日は無駄なのか。

そんなことはありません。

前回より同じ重量で回数が増えた。

前回よりフォームが安定した。

前回より狙った筋肉を使っている感覚があった。

こういう変化があるなら、筋肉痛がなくてもトレーニングとしては十分に意味があります。

むしろ、毎回強烈な筋肉痛が来ないと不安という状態のほうが危ないです。

なぜなら、痛みだけを基準にすると、どんどんトレーニング量を増やしたくなるからです。

今日は筋肉痛が来なかった。

じゃあ次は種目を増やそう。

セット数を増やそう。

最後に限界まで追い込もう。

この流れ、かなり危ないです。

初心者が最初に追うべきなのは、翌日の痛みではありません。

前回より少しだけうまくなったか。前回より少しだけ強くなったか。

見るべきなのはそこです。

なぜ筋肉痛を求めてしまうのか

ここで一度、なぜ筋肉痛を求めてしまうのかという点に視点を切り替えましょう。

それは、筋肉痛がトレーニングにおいて最も最短で得られる”成果物”であるからではないでしょうか。

トレーニングというのは数週間、数か月単位で重量の伸びや体の変化を見ていかなければいけませんが、初心者の方々にとってその期間はあまりにも長く、耐え難いものであることと考えられます。

毎日鏡を見ているけど変わらない。
昨日と同じ重量、同じ回数しかできない。

そこで、筋トレをした翌日に颯爽と現れる筋肉痛という成果が救世主のように感じるのではないでしょうか。

昨日のトレーニングはちゃんと頑張っていた。
無駄じゃなかった。

そう思わせてくれる、非常にわかりやすい反応です。

だから筋肉痛を求めることそれ自体は何もおかしいことじゃありません。

むしろ、努力の手応えが欲しい初心者ほど、筋肉痛にすがりたくなるのは自然です。

ただし、注意したいのが分かりやすいからという理由だけでそれを正しい指標だと思い込んではいけないということです。

筋肉痛を唯一の成果物として扱い始めてしまうと後に待っているのはこんな道です。

もっと筋肉痛を得るために無理をしてトレーニングの量を増やしていくのです。

ここから、危険な領域へと突入していきます。

筋肉痛を欲しがると関節や腱に負担が逃げる

筋肉痛が欲しくてトレーニング量を増やす。

一見、やる気があって素晴らしいように見えます。

しかし初心者の場合、ここで問題が起きやすいです。

筋肉を狙って追い込む技術がまだ弱いのに、種目数やセット数だけを増やしてしまう。

するとどうなるか。

筋肉より先に、関節や腱がしんどくなります。

例えば胸トレで筋肉痛が欲しいから、ベンチプレスのあとにダンベルプレス、ダンベルフライ、マシンフライ、腕立て伏せまで追加する。

胸に効いているならまだいいです。

でも初心者の場合、途中から肩の前側や肘に負担が逃げていることがあります。

背中の日でも同じです。

背中に効かせたいのに、腕や肘ばかり疲れる。腰を反りすぎて腰が張る。

脚の日でも同じです。

太ももやお尻に効かせたいのに、膝や腰が先にしんどくなる。

この状態で「もっと筋肉痛が欲しい」と量を増やすと、筋肉ではなく関節や腱への負担が積み上がります。

筋肉は回復が早くても、関節や腱はそう簡単に回復してくれません。

筋肉痛を求めた結果、肩が痛い、肘が痛い、膝が痛い、腰が怖い。

そうなったら、ジムに行くどころではありません。

初心者は筋肉痛を取りに行く前に、関節や腱を守ってください。

筋肉痛はほかの部位のトレーニングの邪魔にもなる

筋肉痛には、もう一つ見落とされがちなデメリットがあります。

それは、ほかの部位のトレーニングにも影響することです。

「胸が筋肉痛なら、背中の日には関係ないでしょ」と思うかもしれません。

でも、実際はそんなに単純ではありません。

胸が強く痛いと、肩甲骨を寄せたり、胸を張ったりする動きがやりにくくなります。

背中のトレーニング中にも、胸や肩の前側の痛みが気になって集中できないことがあります。

脚が強く筋肉痛なら、上半身の日でも踏ん張りが効きにくくなります。

ベンチプレスでも、ローイングでも、ショルダープレスでも、足で体を安定させる場面はあります。

腹筋や背中が強く筋肉痛なら、ほとんどの種目で姿勢を保ちにくくなります。

つまり、筋肉痛はその部位だけの問題ではありません。

痛みが強すぎると、次のトレーニング全体の質が落ちます。

筋肉痛を得るために今日の満足感を取りに行った結果、明日以降のトレーニングが雑になる。

これは本末転倒です。

筋肉痛より記録を見ろ

では、筋肉痛の代わりに何を見ればいいのか。

答えは記録です。

前回は40kgで10回だった。

今日は40kgで11回できた。

前回は最後の2回でフォームが崩れた。

今日は最後までフォームが崩れなかった。

前回は胸に効いているかわからなかった。

今日は少し胸に熱さや張りを感じた。

こういう変化のほうが、筋肉痛よりもずっと大事です。

筋肉痛はその日の体調、種目、可動域、慣れ、睡眠、栄養などでも変わります。

かなり気まぐれです。

でも記録は残ります。

重量、回数、フォーム、インターバル、対象筋の感覚。

これらを見れば、少なくとも前回から何が変わったのかはわかります。

痛みで判断するのではなく、積み上がった記録で判断してください。

ただし何も感じないなら見直しは必要

ここまで筋肉痛がなくても問題ないと書いてきました。

ただし、何でもかんでも肯定するつもりはありません。

筋肉痛がない。

対象の筋肉に熱さも張りもない。

重量も伸びない。

回数も増えない。

フォームも毎回よくわからない。

この場合は、さすがに見直しが必要です。

重量が軽すぎるのかもしれません。

逆に重すぎて、狙った筋肉ではなく別の場所で持ち上げているのかもしれません。

インターバルが短すぎて、2セット目以降の質が落ちすぎているのかもしれません。

種目数を増やしすぎて、後半はただ疲れているだけになっているのかもしれません。

そういうときは、筋肉痛を取りに行くのではなく、重量設定やフォーム、種目の順番を見直してください。

痛みを増やすのではありません。

トレーニングの精度を上げるのです。

初心者は次もジムに行ける状態で帰れ

初心者にとって、かなり大事な基準があります。

それは、次もジムに行ける状態で帰ることです。

今日だけ限界までやって、翌日から3日間まともに動けない。

仕事中も痛い。階段もつらい。次のジムが嫌になる。

それは、初心者にとってはあまり良いトレーニングではありません。

もちろん、たまに強い筋肉痛が来ることはあります。

新しい種目をやった。久しぶりに脚をやった。可動域を広げた。

そういう日には筋肉痛が来ても不思議ではありません。

でも、それを毎回狙わなくていいです。

初心者が大事にするべきなのは、1回の大爆発ではなく、次につながるトレーニングです。

今日やる。

次も行く。

その次も行く。

少しずつ重量や回数が伸びる。

これでいいです。

筋肉痛がない日を、失敗扱いしないでください。

むしろ、痛みが少なくても記録が伸びているなら、それはかなり良い状態です。

まとめ

筋肉痛が来ないからといって、あなたの筋トレが無駄だったわけではありません。

筋肉痛は、成長の必須条件ではありません。

むしろ、筋肉痛だけを求めて種目数やセット数を増やし、関節や腱を痛めてジムから離れるほうがよほど問題です。

痛みではなく、記録を見てください。

痛みではなく、フォームを見てください。

痛みではなく、次もジムに行ける体で帰れたかを見てください。

初心者が追うべきなのは、翌日の苦痛ではありません。

次のトレーニングにつながる成長です。

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